しゅん
みなさんは2009年に起きた「ユーロ危機」を知っていますか?
「ユーロ危機」の発端はEU加盟国のギリシャが財政赤字を隠していたことが発覚したこと原因で起こりました。
しゅん
財政赤字を隠し、ユーロ危機まで引き起こしたギリシャはなぜEUから追い出されなかったのでしょう?
ギリシャがEUから追い出されなかった理由は、ギリシャの地政学的な位置が大きな要因になっています。
今回の記事では、なぜユーロ危機までを引き起こしたギリシャがEUから追い出されないのかを地政学の観点から深掘りして解説していきたいと思います。
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ギリシャはヨーロッパにある南に突き出した3つの半島の中の一つのバルカン半島の先端に位置します。
バルカン半島は山がちな地形ですが外からの侵入を拒むほどではなかったため、歴史上オスマン帝国やオーストリア帝国、ロシア帝国など何度も大国の侵攻を受けています。
半島に位置する国家の地政学的宿命として「半島の付け根を制した大国の影響を多大に受ける」という特徴があります。
古代から中世においては、ローマ帝国⇒ビザンツ帝国⇒オスマン帝国の統治下にありました。
しゅん
身近な半島国家として朝鮮半島を例に考えると理解しやすいと思います。
近代までの朝鮮は「半島の付け根にある大国の中国」の影響を多大に受けてきました。
2004年にアテネ五輪を開催するなど景気は悪くなかったギリシャですが、2008年に起こったリーマンショックの影響で外国からの投資も止まり、深刻な財政赤字に陥ります。
2009年の政権交代をきっかけにギリシャの財政赤字が発覚したことが引き金になりユーロ危機が起こりました。
しかし、ユーロ圏のギリシャが財政破綻した場合、ユーロ圏の金融機関全体に大きなダメージを受けるということで、財政赤字の肩代わりとしてドイツにある欧州中央銀行(ECB)などがギリシャの国債を買うことによってギリシャを支援しました。
その見返りにギリシャに対して「緊縮財政」を要求しましたがギリシャはその要求を受け入れるどころか、ユーロとEUからの離脱をちらつかせました。
しゅん
財政破綻した当時のギリシャは実に国民の5人に1人が公務員という異常な事態になっていました。
同じユーロに対して税金を払っている他国からしたら、たまらない話です。
しゅん
ここまで傍若無人な態度のギリシャをなぜEUから離脱させることができなかったのでしょうか?
それはギリシャの地政学的な位置が関わってきます。
ギリシャのある位置はバルカン半島の先端で、ヨーロッパの中でも地政学的に特に重要な「地中海からアジアに抜けるシーレーン」にあるうえに、ロシアにとっては内海の「黒海から地中海に抜ける重要なルート」上にあります。
ギリシャの位置はヨーロッパ諸国にとっても、ロシアにとっても戦略上特に重要な位置にあるために、財政赤字の補填をしたとしてもギリシャのEU離脱は避けなければならない状況ということが分かります。
しゅん
万が一ギリシャがロシア側についた場合、EUにとって地中海全体の安全が脅かされる事態になってしまします。
地政学上重要な位置にあるということがギリシャがEUを追い出されない理由なのです。
今回の記事では、財政赤字を隠しユーロ危機を引き起こしたギリシャがなぜEUから追い出されなかったのかという理由を地政学の観点から解説しました。
地政学的に重要な位置にある国は、自身の立ち位置自体も交渉材料になるほどに強い影響力を持っています。
当時のユーロ危機のニュースを見て、なぜギリシャがEUを離脱させられなかったかという理由についてこの記事が答えになってもらえたら大変うれしいです。
この記事を読んでぜひ「地政学」に興味を持っていただけたら幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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