ランドパワー大国!ロシアの地政学を6つの特徴から徹底解説!

記事更新日: 2021/09/21

ライター: しゅん

しゅん

みなさんはロシアという国についてどのようなイメージを持っていますか?

ロシアと言えばユーラシア大陸の北部に世界一位の国土を持つ大国で、冷戦時代はソビエト連邦としてアメリカと覇権を争っていました。

地政学の側面から見ると、ユーラシア大陸の中央に位置した典型的なランドパワー国家です。

しゅん

日本とは北方領土問題で争っているイメージを持っている方もいるかと思います。

世界一の大きな国土を持つロシアなので当然海にも面していますが、そのほとんどの港が冬には氷におおわれて使えなくなってしまうという特徴を持っています。

そのため、ロシアはシ―パワー国家としてではなく、ランドパワー国家として国土を拡大してきた歴史があります。

しゅん

ランドパワー国家の宿命として「領土を奪われないために拡大し続ける」というものがあります。

歴史上ロシアはたびたび凍らない港を求めて、南へ領土を拡大させようとしてきました。

ランドパワー、シ―パワーなど基本用語を解説

地政学ってどんな学問?7つの基本概念を分かりやすく解説! - LIFENOTE

北方領土問題などの解説はこちら

日本はアメリカの防波堤?地政学から見る日本とは? - LIFENOTE

この記事では、そんな大国ロシアがどんな国なのかを、地政学の観点から詳しく深掘り解説していきます。

しゅん

近くにあるけどよく知らない国「ロシア」について初心者向けに解説したいと思います。

この記事を読むとわかること
  • 地政学から見たアメリカについて
  • ロシアの南下政策について
関連記事

初心者向け|地政学とはどんな学問?知れば世界の動きが全て解る! - LIFENOTE

著者プロフィール
しゅん
  • 趣味から仕事に及ぶ幅広い資格を所持
  • 時には自動車整備士、時にはケーキ職人と異色の経歴を持つ会社員
  • 独学での勉強術で仕事をこなしながら多数の資格を取得
  • 社労士取得に独学で挑戦後、Web運営に転向
  • 資格Webライターとして活躍中!

ロシアの地政学的特徴とは?

しゅん

ロシアはランドパワー国家と説明してきましたが、地政学的にどのような特徴を持っているのでしょうか?

ロシアはユーラシア大陸の中央北部に広大な国土を持つ国ですが、そのほとんどが気温が低く農耕に適さない土地となっています。

また、北極海の港も冬には凍ってしまい使うことができないという大きな特徴を持っています。

しゅん

そのような特徴を持つロシアは必然的に南に領土を拡大させようとしてきました。

南下政策の5つのルートとは?

国土の広いロシアですが、地形の制約によって実際に南に領土を広げることができるルートは5つに限られます

5大南下ルート
  • バルト海ルート
    西側に位置する数少ない自国の海岸線を使うルート。バルト艦隊が配置されておりメインルートとして使用されている。
  • ヨーロッパ陸ルート
    ベラルーシ、ポーランドを通りドイツに抜けるルート。現在は通行不可。
  • 黒海ルート
    黒海からトルコ海峡を抜けるルート。紛争が多い地域。
  • インド・アフガニスタンルート
    カザフスタンなどの旧ソ連の諸国からアフガニスタンに抜けるルート。現在は使用不可。
  • シベリア・ウラジオストクルート
    日本から身近な北方領土周辺を通るルート。ウラジオストクには太平洋艦隊が配置されています。

この5つのルートの中でも敵対国家の存在により、使用できないルートが存在します。

実際にメインルートとして重要視されているのは①バルト海ルートと⑤シベリア・ウラジオストクルートです。

しゅん

国土の広いロシアですが、意外にもルートは5か所に絞られます。

関連記事

ロシアはなぜクリミア半島を併合したの?地政学からサクッと解説! - LIFENOTE

広大な国土を守るために周辺を協力関係の国家で固める

ロシアの大きな特徴として周辺の国家と協力関係を築き、バッファゾーン(緩衝地帯)を作るということがあります。

大きな国土を持つことで、国境線も長大なものになり自国だけでは国境線を完全に防衛することが難しいため、周辺の国家を自身の協力国家にして対抗勢力とのバッファゾーンにしてきました。

しゅん

現代でも残る代表的なバッファゾーンが東欧のウクライナです。

2014年にはクリミア半島をめぐって「ウクライナ危機」が起こりました。

クリミア危機・ウクライナ東部紛争は、2014年2月下旬に発生したウクライナ騒乱後、クリミア半島(クリミア自治共和国)とウクライナ本土のドンバス地方(ドネツィク州とルハーンシク州)で起こっているウクライナ政府軍と、親露派武装勢力や反ウクライナ政府組織、ロシア連邦政府・軍との紛争(軍事衝突や対立)である。

Wikipediaより引用

ソ連崩壊時の領土は「本来は自国領だが失った領土」

ソ連崩壊時にソビエト連邦からロシアを含め実に15もの国に独立しました。

ロシアとしてはその時に独立した国の領土はもともとロシアのもので自国領に取り戻したい」と考えているという特徴があります。

しゅん

この考え方が、先ほども説明した「ウクライナ危機」につながったと考えられます。

東方シフトと中国政策

ロシアの人口の80%は西側のヨーロッパ側に住んでいますが、石油や天然ガスなどの資源の80%は東側のシベリヤや極東にあります

そのため、ロシアは人口と資源のバランスを考え、東方に人口や国の重点を移動させようとしています。

しゅん

この東方シフトをするうえで切っても切れない課題が4300Kmもの国境を接する大国「中国」との関係です。

東方を開発したいロシアの思惑として、中国争うことより経済的な結びつきを強め石油などの資源を売却し実利を取ったということです。

その代表例が、1969年に起こったダマンスキー島の領土問題の解決方法で、1991年にロシア側が妥協する形で領土を等分するという協定を結びました。

しゅん

その裏で2015年には台頭する中国に対抗するため、

ベラルーシ、カザフスタン、アルメニア、キルギスとともに「ユーラシア経済連合(EEU)」を設立しています。

ロシアの拡大の防波堤|ポーランドとトルコ

ロシアの拡大を防ぐためにアメリカが重要視している国が5大南下ルート上にも位置するポーランドとトルコです。

ポーランドはロシア側のバッファゾーンのベラルーシに対峙する位置にあり、トルコとは黒海を挟んで対峙しています。

しゅん

どちらもロシアの拡大をけん制する重要な位置にある国で、

共産主義諸国に対抗するためにアメリカと西欧諸国が結んだ軍事同盟NATOの加盟国です。

関連記事

財政破綻したギリシャはなぜEUから追い出されないの?地政学から解説! - LIFENOTE

新しいシーレーン「北極海ルート」

2000年ごろから冬の間は凍って船の通行が不可能だった北極海のルートが地球温暖化の影響で通行ができるようになりました。

このルートを開発することで、北極海近隣の資源を運びやすい点や海賊が多い海域を通らないで済むというメリットがあります。

しゅん

北極海ルートを開発するうえで北方領土が重要になってきます。
ロシアとしてはますます返還することが難しくなるでしょう。

関連記事

地球温暖化で世界の物流が変わる!北極海ルートとは? - LIFENOTE

関連記事

通行不能で日本経済は破綻?日本の経済を支えるシーレーンを解説! - LIFENOTE

まとめ

今回の記事では、ランドパワー国家のロシアを地政学の観点から深掘りして解説してきました。

ランドパワー国家の宿命として領土を外へ外へ拡大してきた政策の上で、周辺国家と何度も争いをしてきた歴史があります。

ソ連崩壊によって以前ほどの脅威がある国ではないかもしれませんが、北極海付近やシベリアの資源を活用することで今後も十分に成長する余地が残っている国といえます。

しゅん

何かとニュースになるロシアの動向ですが、

地政学からの観点で今までより広い視野でニュースを見ていただければと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。

関連記事

アメリカは島国?地政学から見るアメリカとは? - LIFENOTE

この記事を書いたライター

しゅん

  • 趣味から仕事に及ぶ幅広い資格を所持
  • 時には自動車整備士、時にはケーキ職人と異色の経歴を持つ会社員
  • 独学での勉強術で仕事をこなしながら多数の資格を取得
  • 社労士取得に独学で挑戦後、Web運営に転向
  • 資格Webライターとして活躍中!

この記事に関連するラベル

ページトップへ