通行不能で日本経済は破綻?日本の経済を支えるシーレーンを解説!

記事更新日: 2021/09/17

ライター: しゅん

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みなさんは普段日本が使用する石油はどこから来ているか知っていますか?

実に日本の石油の約9割弱が中東から輸入されています。

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使用量の1%以下は国産の石油もありますが、

資源が乏しい日本では、資源のほとんどを輸入に頼っています。

そのような状況から、もし石油の輸入が止まった場合日本経済は破綻するといわれています。

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そんな日本の経済を支える大量の石油はどのように運ばれてきているのでしょうか?

石油の輸送には大型の原油タンカーを使った海運が用いられています。

そのルートは、中東のホルムズ海峡からシンガポール付近のマラッカ海峡という2つのチョークポイントを通るシーレーン(海路)で運ばれてきています。※画像は本文にあります。

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このシーレーンは日本と中東を最短距離で結ぶ重要なシーレーンですが、

海賊が出たり、近年は中国軍が進出するなど危険な地点が多くあります。

この記事では、日本の経済を裏方で支えるシーレーンに焦点をあてて地政学の観点から解説していきたいと思います。

この記事を読むとわかること
  • 日本経済を支えるシーレーンについて
  • 地政学から見たシーレーン3つのリスク
  • シーレーンの代替ルートについて
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しゅん
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日本の経済を支えるシーレーン

上の地図の青い線のルートが、マラッカ・シンガポール海峡ルートと呼ばれる、日本の命綱ともいえる重要なシーレーンです。

特徴としては、ホルムズ海峡とマラッカ海峡という世界的にも地政学上で重要な2つのチョークポイントを通っている点です。

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日本の石油の消費量から考えると、

30万トン級のタンカーが1日に2隻のペースで寄港しないと石油が枯渇し、

日本の経済は破綻してしまうことになります。

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このように日本の経済にとても重要なシーレーンですが、常に様々なリスクが付きまといます。

シーレーンのリスク①マラッカ海峡の海賊

マレー半島とスマトラ島の間にあるマラッカ海峡の付近は歴史上、常に海賊の脅威が存在しています。

その理由として、マラッカ海峡の幅が狭いうえに小さな島が無数にあるため、海賊が隠れたり奇襲をするのに適しているという地形的な理由があげられます。

近年になってからは、近隣国家の沿岸警備の甲斐あって減少はしていますが、いまだに年間数十件の海賊被害が実際に起きています。

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日本に住んでいると現代に海賊がいるというだけで驚くような話しですが、

世界では実際に海賊の脅威がある海域が多く存在します。

シーレーンのリスク②ホルムズ海峡の中東問題

2019年に発生した日本とノルウェーの海運会社が運航するタンカーへの攻撃事件を覚えている方も多いと思いますが、もう一つのチョークポイントのホルムズ海峡付近もアメリカとイランの間の緊張が高まる中、タンカーが戦争やテロの標的になるリスクが増えているといえます。

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地理的に重要な地点には紛争や各国の思惑がつきものなのも地政学の定めです。

シーレーンのリスク③南シナ海の中国軍

近年では南沙諸島付近の領有権や境界をめぐって南シナ海では中国と近隣国家との衝突が頻繁に起こっています。

衝突が大規模になった場合に、南シナ海の航行が不可能になり、代替ルートを選択する必要に迫られます。

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中国は実際に「被弾した場合環境に多大な影響を与える大型タンカーの迂回」を警告しています。

被弾という言葉がすでにリスクを表していますね。

重要なシーレーンに代替ルートはあるの?

日本経済にとっての生命線のシーレーンですが、地政学的に重要な地点が多くリスクもたくさんあることが分かりました。

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それでは実際にリスクが起き、シーレーンが使用できなくなった場合の代替ルートはあるのでしょうか?

代替ルート①ロンボク・マカッサル海峡ルート

第一の代替ルートは「ロンボク・マカッサル海峡」ルートです。

このルートは最短距離ではなくなりますが、南シナ海やマラッカ海峡を迂回できるルートになっているので、南シナ海の通行が困難になった場合にマラッカ・ホルムズ海峡ルートに次ぐ2番目に近いルートで約2,000キロほどの航程が増えることになります。

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こちらのルートが使用可能な場合「日本経済はギリギリ持ちこたえられる」と試算されています。

代替ルート②バス海峡・南太平洋ルート

第二の代替ルートは「バス海峡・南太平洋」ルートです。

こちらのルートは南に大きく迂回をして、オーストラリア大陸の南側を回り込むルートになっているため、約10,000キロもの航程が増えることになってしまいます。

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ロンボク・マカッサル海峡ルートも使えない場合にこの選択肢をする必要がありますが、

このルートを使用する場合「日本経済は破綻する」と試算されています。

代替ルート③ロシアとの石油パイプライン

第三の代替ルートはシーレーンそのものではなく、ロシアから樺太を経由して接続させる石油パイプラインです。

日本としても中東に依存する資源輸入先を分散できるメリットがあり、ロシアとしても石油や天然ガスなどの資源を輸出し現金にできることはメリットとなるため計画は何度も持ち上がっていますが、北方領土問題で日本とロシアとの関係が悪化するたびに計画がとん挫しているのが現状です。

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パイプラインを引くことで安定的に資源を輸入することができ、

リスクを軽減できることで日本経済にもプラスに働くと考えられます。

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まとめ

今回の記事では、石油などの資源を輸入するための重要な日本のシーレーン(海路)について詳しく解説しました。

シーレーンが封鎖されるだけで、日本の経済が破綻してしまうほどの影響があるシーレーンは国家戦略の上でもとても重要になってきます。

しかし、現実はメインルートとなっているマラッカ・シンガポール海峡ルートはほぼ100%アメリカ軍の警備のおかげで安全な運航ができているといわれています。

今後も世界情勢の変化によって安全なシーレーンが脅かされる事態になった場合に、経済損失がどれほどになるかや代替ルートなどに地政学の観点から興味をもっていただけたらと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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この記事を書いたライター

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  • 時には自動車整備士、時にはケーキ職人と異色の経歴を持つ会社員
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  • 社労士取得に独学で挑戦後、Web運営に転向
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